2012年02月14日

第二回の全集刊行記念講演会中村敏幸


   第二回の全集刊行記念講演会

  「個人主義と日本人の価値観」を拝聴して
    

    坦々塾会員 中村 敏幸

 先生が「ドナルド・キ−ン氏を初め、日本学を研究する西洋人は皆女性的であり、西洋では生きられない人達ばかりである」と仰ったことを拝聴し、日本は尚武の国と言われて居りますが、日本文化は本来「たをやめぶり」を根底に持つ「ますらをぶり」なのではないかと思うに至りました。
 古事記によれば、皇室の御先祖である天照大御神は姫神様ですし、須佐之命の御乱行を咎めることなく、ただ悲しまれて岩戸隠れをされたおやさしい神様です。自然の恵みに抱かれて育まれた日本は、自然から一切恵みを受けない荒漠不毛の沙漠の酷烈さから生まれたユダヤ・キリスト教による対抗的戦闘的な精神文化〔和辻哲郎の「風土」三つの類型より〕の欧米諸国に対し、「たをやめぶり」を失うことなく、決然と「ますらをぶり」を発揮して戦うことを運命づけられているように思います。
 因みに、「たをやめ(たわやめ)」と云う言葉は、「古事記(上つ巻)」の岩戸隠れの段に「速須佐之命天照大御神に白したまはく、我が心清明き故に、我が生める子手弱女を得つ」とあり、また、天孫降臨の段に「天照大御神、高木神の命以ちて、天宇受賣神に詔りたまはく、汝は手弱女なれどもい向かふ神と面勝つ神なり」とありますのが初出であり、「ますらを」と云う言葉は古事記にはなく、万葉集以降のように思います。
 アメリカはペリ−来航以来今日まで、日本に対して真に友好的であったことはただの一度もなく、戦後は一貫して日本の精神的基盤の解体とアメリカの属国化を工作し、かつ、円高ドル安による為替介入、日本の米国債購入などによって日本から富を奪い続けました。
 先生は近著「天皇と原爆」の巻末に於いて「アメリカは落ち目になっているだけに、いわば手負い獅子で、これからもっと恐ろしい事態が来る危険性が控えているのです」とお書きになっておられますが、私は、昨今のTPP問題も「ワシントン会議」と同一線上にあるアメリカの策略であり、環太平洋に於いて、アメリカにとって都合の良い枠組みの構築強要を謀る、云わば「現代版ワシントン会議」ではないのかと思って居ります。
 先生はかつて「日本の孤独」という御著作を表され「日本よ孤立を恐れるな」と訴えられましたが、「これからもっと恐ろしい事態が来る危険性が控えている」今日、我が国には友好的な隣国とてなく、宿命としての孤独に耐え、自らの弱さを自覚克服し、決然と「ますらをぶり」を発揮し、眥を決して戦うことが求められており、危機は迫っているように思います。

                               以   上
posted by 坦々塾事務局大石朋子 at 17:43| Comment(0) | ゲストエッセイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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