2009年10月21日

地球温暖化・CO2 そして原子力発電 その5 <最終回>小池広行

  地球温暖化・CO2 そして原子力発電 その5 <最終回>


        坦々塾会員 小池 広行


      鳩山政権に対する政策提言


民主党のエネルギー政策

 民主党は政権公約として、エネルギー安全保障の確立は国家としての責務であり、現在僅か4%、原子力を含めても16%に過ぎないわが国のエネルギー自給率を2100年には50%へ向上させるとの長期目標を掲げています。また安全性確保を前提とした原子力利用の促進に着実に取り組むと宣言しています。

 昨年の坦々塾でも説明しましたが、我が国のエネルギー自給率はわずか4%、先進国の中でも極めて低いのです。(これもダントツ)そして、本稿をお読みにいる方々にはご理解頂けるとおもいますが、エネルギー問題は国際紛争の火種です。歴史上の出来事(例えばABCD包囲網)からも、そして現代の民族紛争、宗教紛争に加えて食料とエネルギーも紛争から戦争へと移行する可能性は大きいと思います。(食糧問題とエネルギー問題は一体です)

 一方、地球温暖化問題が科学的結論の結果ではなく、あくまで政治的コンセンサスのもと、日本だけが鴨にされ、高い目標を世界に公言している。二兎を目指すもその方策がまったく不明なまま、これでは国民が懐疑的になるのも当然というものでしょう。

なぜ原子力発電を語らないのか

 前政権の15%削減の説明によれば太陽光発電の導入を「現状の10倍」(1400万KW)から「20倍」(2800万KW)に引き上げることにことにより投資総額は約9兆円の負担増となります。これと同量の電気を原子力で発電するとすれば稼働率の違いを考えると(原子力の稼働率は太陽光の約7倍)180万KW級発電所の1基強の増設で充分なのです。
 そして、
 2007年7月16日柏崎刈羽原子力発電所の7基、総出力821万KWが中越沖地震で停止しました。(当日は3基が運転中、3基が7月末に運転予定、1基は長期定期検査)1か所の原子力発電所としては世界最大規模(ギネスブック掲載)の発電所が停止していることで、1年間約400億KWHの電力を石油で代替することになり日本全体で約2%のCO2排出増となっています。

 このようにエネルギー安全保障及び地球温暖化抑制の両面から原子力発電の効果は非常に大きいことは明らかであります。しかしながら、従来の原子力のこの役割について、政府も政党も必ずしも十分明快に国民に説明して来ませんでした。もちろん、国内メディアもマイナス面ばかりの報道でプラス側面での原子力をまったく語ろうとはしていません。

自民党の削減方策(参考)

6月10日発表の自民党15%削減案は下記のとおりです
○太陽光発電、住宅用で約200万円
(現状の20倍の約2800万KWに拡大、530万戸に設置)
○次世代エコカー 1台200万円
(普及率を新車販売の約50%、保有台数の約20%に拡大)
○省エネ住宅 160〜200万円(新規住宅の80%で普及)
○高効率給湯器 1台20〜30万円(販売台数約2800万台)
○電気料金 年2〜3万円増(排出量の購入などコスト増の上乗せ)

 この発表を見て私は自民党の削減幅でさえも如何に達成が非現実的であるかを学生に訴えたかった。急いで講義の資料に纏めたのもそのためです。
注目すべきはここでも(自民党案)でも原子力発電の有効性についての国民に対する説明はありませんでした。

 実は自民党案にはかなり無理がありますが、それでも原子力発電の有効性を認識し、削減案の試算には2020年までに新規原子力発電9基、稼働率81%以上(現状約70%)があります。

最後に

 民主党が先にあげたエネルギー政策を目指すなら、そして温暖化問題にも世界に公言した以上今こそ、国民にわかり易く説明するべきではないでしょうか。騙されているとか鴨にされているなどとは言えませんが(私だけがそう思っているのかもしれませんが(苦笑+汗))温暖化問題で世界のリーダーシップは取れないくらいの認識をもってもらいたいですね。

 最後に鳩山首相が振り上げた25%削減という到底達成困難な「ナタ」の落としどころは何処になるのか注目していく必要があると思います。

<終わり>

       文責:小池 広行


posted by 坦々塾事務局大石朋子 at 00:00| Comment(4) | ゲストエッセイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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