2009年10月14日

地球温暖化・CO2 そして原子力発電 その3 小池 広行

  地球温暖化・CO2 そして原子力発電 その3 

    坦々塾会員 小池 広行

    IPCC第4次報告書について

 IPCC第4次報告書について少し説明を加えます。

 第4次報告では温暖化原因を「20世紀半ば以降の世界平均温度の上昇は、その大部分が人間活動による温室効果ガスによってもたらされた可能性が非常に高い。(very likely)」として第3次報告書よりも突っ込んだ表現にしています。
その内容は前回の報告書概要で記載したとおりですが、環境省HPのPPT(PDF)は大変ビジュアルに纏められていてインパクトが大変強い。(是非ご覧下さい)

 温暖化により引きおこすであろう大災害(北極の氷の崩壊、シロクマも溺れているようす、大干ばつ、氷河の減退、等々)が次々と想像され、それをマスメディアが大々的に報道してきた、ほとんど毎日のようにそんな内容の記事が大新聞やテレビをにぎわしました。官僚、政治家は気候学の専門家ではないのでIPCC報告を十分理解できないまま政策を決定してきたのです。日本では1997年の京都会議が最初、そして、その達成が困難とみると今年6月、自民党麻生政権はポスト京都(COP15コペンハーゲン報告)を見据え2005年比15%削減を表明、9月民主党鳩山政権が成立するとさらに削減幅を25%に大幅修正し、世界に向けて発信しました。膠着した世界、政権交代契機として日本の存在感アピールと言ったところでしょうか。(現実的な取り組みに対する提言は後述します)

 地球温暖化、CO2説に異論を唱える研究者たち

(1)赤祖父俊一先生(アラスカ大学)

 赤祖父先生の研究によると数百年前と比べると現在の地球は間違いなく温暖化しているが、問題は「その原因がなにか」を過去150年の地球の温度上昇とCO2の排出量から(陸、海洋、大気)のデータを基に考察している。結論として地球温暖化の原因は「自然変動主因説」としています。

(正しく知る地球温暖化:赤祖父俊一)
○現在は小氷河期の回復期>○1880年頃から直線的に温度上昇→温暖化は自然変動
○1920-1970年の温度変動はCO2と無関係
○北極圏の1950〜2000年の温暖化は消えた
○1900年以降の温暖化は自然変動が主因→
CO2の影響は1/6程度
自然現象>人為的要因


(2) 伊藤公紀先生(横浜国大)・渡辺正(東大)
「地球温暖化論のウソとワナ・史上最悪の科学スキャンダル」共著


 本書の序章にある科学的知見を以下にまとめてみました。

○ハンセンが1988年に連邦議会証言(CO2が増加に応じ気温もじわじわ上がった)に使った図は、よく見ると1940年頃から70年代にかけ気温は下がっていた。ハンセンは寒冷化には目をつぶった。この寒冷化は太陽活動の変化をもとに説明できる。(ハンセンがCO2排出が地球温暖化の原因であると説いた最初の政治家)
○ 太陽活動の変動周期は11年、約85年、約210年、約1500年が知られている。
○歴史上20世紀より高温だった時期は何度もある。古代ローマ時代、中世温暖期(平安時代)は現在より大分暖かかった。
○潮位計のデータを見る限りツバルは沈んでいない。
○地上で測った気温は都市化の影響を受けるため、「見かけ上の温暖化」に注意しなければならない。
○気象観測衛星NOAAのデータによると南半球と南極圏は寒冷化。地球全体は緩やかな昇温傾向から横ばいに転じつつある。
○都市化が無視できる観測点3000箇所による世界地表平均気温の1970年から2010年までの昇温は0.2℃(都市を含めると0.7℃)
○2005〜06年に氷原が縮小した北極圏で、氷原面積の拡大傾向が認められた。
○インド洋モルディブ諸島は過去40年で20cm海面が下がった。海面上昇や下降の主因をプレート運動など地殻変動とみる説が強まった。
○過去100年、ハリケーンや竜巻、干ばつの頻度はほとんど変わっていない(米国の統計調査)。
○過去20年、生物種の絶滅はほとんどない。北極圏のシロクマは個体数が20〜30%増えている。

疑問の多い温暖化対策の事例;

* 京都議定書は地球温暖化を抑える力はほとんどない。
* 省エネは経済活動の縮小を意味するため、温暖化を抑えるほどのCO2排出削減は国民生活の破壊につながる。
* 省エネ製品が大量に売れるとCO2の排出は増す。
* 不安定な新エネだけでは日本のエネルギー需要はまかなえない。
* 石炭はあと数百年あるので、石炭利用技術の開発を進める方が賢い。
* 排出権取引は資金の場所を動かすだけのマネーゲーム

(3) 石井吉徳先生(東京大学)

 石油ピークを啓蒙し脱浪費社会をめざすもったいない学会
   (もったいない学会会長)、
○浪費、無駄しない、日本は世界6位の「海岸線の長さ大国」、大陸ではない   山岳75%
○ 西欧文明の終焉、脱欧入亜を目指す、アメリカ主導のグローバリズムは自壊する
○ 1970年頃を目指そう、当時エネルギー消費は半分、食料自給率は60%、現在より「心は豊か」であった
○ 少子化、人口減をチャンスとする、民族の生存には人口が少ないほど有利、年長者も働く
○ 流体燃料危機である、車社会を見直し、鉄路、公共運輸の充実、自転車を利用する
○ 集中から地域分散、低密度の自然エネルギーは分散利用、評価はEPR(エネルギー収支比)
○ 日本列島を有効に使う、石油依存農業の見直し、地産地消の自然農業、分散社会への技術
○ 循環社会は3R;Reduce(減量)Reuse(再利用)Recycle(リサイクル)の順、先ず減量
○ 効率優先社会の見直し、集中から地域分散、自然と共存をはかる、これは60倍の雇用を生む
○ GDPの無限成長より「心豊かに」、「もったいない」、「ほどほどに」、「人のつながり」を重んじる社会。
http://www.mottainaisociety.org/outline/message.html

(4) 武田邦彦先生(中部大学)

「環境問題のウソ」
(他多数の先生方がいらっしゃいます。IPCC否定的な科学者の間でもすべてベクトルが一致しているとは言えませが、各学会等で健全なバトルが行われてます)

 さて、IPCC報告に沿って低炭素社会構築を目指す日本、(鳩山さんはCO2削減で世界のリーダーとなりえると本当に思っているのでしょうか?宇宙人だから本気かも?でも、東大工学部卒なんですよね(笑))そして科学よりも政治が先行しCO2削減に浪費することへの警鐘をならす科学者たち。

 次回、日本の取るべき方策はについて考えてみます。

         <つづく>
     
         文責:小池 広行
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2009年10月12日

地球温暖化・CO2 そして原子力発電 その2 小池 広行


 地球温暖化・CO2 そして原子力発電 その2

      坦々塾会員 小池 広行

(1) 地球環境問題(温暖化)の議論 

 地球温暖化はCO2が犯人か?

 オバマ大統領が昨日ノーベル平和賞を受賞しました。まだ就任したばかりで、大した実績もないのに、一寸おかしいような気もしますが、4月のプラハ演説で「核兵器なき世界」を訴えたことが大きく影響したのだと思います。単に演説をしただけで、具体的にはまだ何も動いていないにもかかわらず、あの演説が世界のムードにいかに大きなインパクトを与えたか、ということでしょう。オバマに対する、今後もっと一生懸命頑張ってくれ、決して竜頭蛇尾に終わってくれるな、という叱咤激励と見ることも出来るでしょう。ちなみに米国大統領としてノーベル平和賞を受けるのはオバマで4人目だとか(セオドア・ルーズベルト、ウィルソン、カーターに続く。ただしカーターは退職後の受賞)。

 ついでに付け加えておけば日本人で初めて佐藤栄作元首相がノーベル平和賞を受賞(1974年)したのは、沖縄返還とか日米安保体制強化とかのためではなく、日本の「非核三原則」声明(1967年)とNPT条約署名(1970年)が佐藤さんの任期中に行なわれたことがノーベル平和賞選考委員会のお眼鏡にかなったためで、それに対するご褒美の意味合いが大きかったということです。これなら福島瑞穂さんだって受賞されても不思議ではありませんね(笑)

 話が脇道にそれましたがこれから説明する『国連の気候変動に関する政府間パネル  (Intergovernmental Panel on Climate Change: IPCC)』とゴア前米副大統領にも2007年度のノーベル平和賞が授与されています。温暖化防止の取り組みに貢献したのが受賞の背景です。決して非核化問題だけではないのです。

 ただ、ノーベル平和賞についえては政治的な匂いがしないでもないと皆様もお考えだとすると以下のIPCC説明も少し懐疑的になるかもしれませんね。

 前置きが長すぎました。

 IPCCの第4次評価報告書(2007年)の概要

地球温暖化の原因

 人為起源の温室効果ガスの増加が温暖化の原因とほぼ断定
      第3次評価報告書では「可能性が高い」


これまでの観測結果

○地球の平均地表気温は、100年あたり約0.74℃上昇
      第3次評価報告書では約0.6℃

○20世紀後半の北半球は過去1300年間で最も高温
○積雪面積、海氷面積の減少
○グリーンランド氷床、南極氷床の一部の流出速度増加
○20世紀における平均海面水位の上昇は0.17m
○熱帯・亜熱帯地域における旱魃の拡大、長期・深刻に

将来予測

○社会シナリオによらず2030年までは10年当たり約0.2℃上昇
○21世紀末(2090-2099年)の平均気温上昇
 -環境保全と経済発展が両立するケース:約1.8℃(1.1-2.9℃)
 -化石エネルギー源・経済成長重視ケース:約4.0℃(2.4-6.4℃)
 第3次評価報告書ではシナリオ区別せず1.4〜5.8℃
○21世紀末(2090-2099年)の平均海水面上昇
 -環境保全と経済発展が両立するケース:18-38cm
-化石エネルギー源・経済成長重視ケース:26-59cm
第3次評価報告書では9-88cm
○北極海の晩夏の海氷が21世紀後半までにほぼ消滅するとの予測も
○大気中の二酸化炭素濃度上昇により、海洋の酸性化が進行

  <「出典」IPCC第4次報告書 経済産業省資料>


 IPCCは、1988年に国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)によって設立された、世界各国の非常に多くの科学者および研究者が参画している組織で、世界中の研究者より得られた最先端の知見を結集し、科学的根拠に基づいた地球温暖化とそれによる影響の将来予測や、対策・適応策の可能性の提示を行い、人類に警鐘を鳴らしてきました。 それだけに第4次報告書の内容はインパクトが強い。
http://www.env.go.jp/earth/ipcc/4th/ar4syr.pdf


 昨年1月の坦々塾では地球温暖化問題をIPCCの報告書をもとに説明したことをご記憶の方もいらっしゃるかもしれません。日本がCO2の排出権取引を行うことには当時から批判的でしたが、この報告書の信憑性にあまり疑問を持っていなかったこと正直に告白しておきます。なんと言ってもノーベル平和賞受賞した科学者ですから。

         <つづく>

      文責:小池 広行
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